事務所コラム

永村税理士事務所コラム

・事業承継について

・仮想通貨について

・医療費とセルフメディケーション税制ついて

・マイナンバーについて(後編)

・マイナンバーについて(前編)

事業承継について


Ⅰ.後継者及び承継方法の検討

〇会社の分析・・・会社の事業価値の分析・承継後の事業継続可能な状況の整備

〇市場の分析・・・現在の会社の強み・問題点の検討

〇財務状態等の確認

〇資金需要・・・株式の買取資金等

2.現経営者への意見聴取・・・事業継続への阻害原因の排除

3.承継方法の選択

①後継者候補のリストアップ

②承継者候補に応じた承継方法のメリット・デメリットの把握

③現経営者及び後継者の事業承継意思の確認

イ.親族内承継

ロ.親族外承継・・・1.従業員への承継又は第三者への売却(MA

ハ.自主解散(廃業)

1.経営計画の作成

①経営理念②事業の方向性③将来の数値目標

2.株価対策の検討、選択

①事業承継における自己株式の評価方法

イ.収益方式(インカムアプローチ)

株式の価格・・・事業価値(注1)+非事業資産-有利子負債-少数株主持分

(注1)事業価値の算定方法

一 収益還元方法・・・過去の利益の平均値

二 DCF方式・・・将来獲得期待値のFCFの現在価値

三 配当還元方式

ロ.純資産方式(ネットアセットアプローチ)

一 簿価純資産方式・・・B/S上の各資産の帳簿価格による純資産価格

二 時価純資産方式・・・B/S上の各資産を時価に引き直し、その純資産価格

三 国税庁方式・・・財産基本通達により評価

ハ.比準方式(マーケットアプロー

一 類似会社批准方式・・・類似する上場会社を選定し、純資産価格等を参考に倍率算定。

二 類似業種批准方式・・・国税庁方式

三 取引事例方式・・・過去の適正な売買実例を参考に

注意

〇非流動性ディスカウントの可否・・・非上場株式の市場性・換金性のコスト理由に減価否

①後継者への自社株式の暦年贈与を行う。

②相続時精算課税制度を利用して、後継者へ自社株式を贈与する。

③現経営者へ役員退職金を支払う。

④持株会社を設立する。

⑥投資育成会社を利用する。

⑦オペレーティングリースや生命保険を利用する。

1.合併による場合・・・合併により類似業種批准価格の会社規模を大きくし株価を下げた後に後継者に承継できるか検討する。

◇税制適格合併・・・一定の要件満たせば、税制適格となり、課税が繰り延べられる。つまり、承継する法人は移転を受ける資産・負債は(税務上の)帳簿価格で引き継ぎ、承継させる法人はその譲渡損益は認識しない

①合併交付対価が、合併法人又は合併親法人の株式のみであることう

②被合併法人と合併法人の持株関係が次のとおりのこと

?100%支配(完全支配関係)の場合・・・合併後も完全支配関係の継続

?50%超100%未満の支配関係・・・合併後の支配関係の継続・従業員の8割以上引き継ぎ

事業継続見込

?50%超の支配関係がないこと・・・事業関連性あること・事業規模5倍以下・合併法人及び被合併法人の特定役員(常務以上)のいずれかが、合併後の合併法人の特定役員になること・被合併法人の株主が50人未満の場合に、合併直前の被合併法人の株主等で合併により交付を受ける合併法人の株式等の全部について継続保有を見込まれる者が有する被合併の株式等の数を合計した数が、被合併法人の発行済株式等の8割以上であること・同上?

税制非適格合併・・・被合併法人が時価により合併法人に譲渡されたものとされ、合併法こう人は、時価による資産・負債が引き継がれ、被合併法人の株主にはみなし配当課税(注2)や譲渡所得課税が生じます、ただしグループ法人税制の適用のある税制非適格合併が、完全支配関係のある法人間で行われた場合で、移転する資産のうち譲渡損益調整資産がある時は、当該資産の譲渡損益について課税が繰り延べられる。当該資産は、譲渡直前の帳簿価格が1000万円円以上の固定資産・土地等・有価証券(売買目的除く)・金銭債権・繰延資産である

(注2)被合併法人等の株主に交付される金銭等のうち、資本等の部分を超える部分

2.分割による場合・・・一つの会社を二つ以上の会社に分けることを言い、会社がその事業に対して有する権利義務の全部又は一部を他の会社や新たに設立した会社に承継させること

◇税制適格分割・・・一定の要件を満足すれば税制適格となり、課税が繰り延べられる

①分割により交付される対価は、分割承継法人又は分割承継親法人の株式のみであること

②分割型分割の場合は、株式数の割合に応じて交付されていること

③分轄前の分割法人と分割承継法人の持株関係次のとおり

?100%(完全支配関係)の場合・・・分割後も完全支配関係の継続

?50%超え100%未満の場合・・・分割後もこの支配関係継続・分割資産の主要な資産・負債が分割承継法人に引き継がれていること・従業員のおおむね8割以上が引き継ぎ見込みであること・分割事業が分割事業法人で継続見込まれること

?50%超えの支配関係がない場合(共同事業要件)・・・①事業関連性あること②事業規模が5倍を超えないこと又は、分轄前の分割法人の役員のいずれかと分割承継法人の常務以上の役員(特定役員)のいずれかが、分轄承継法人の特定役員となることが見込まれること③分割法人の株主が50人未満である場合

分社型・・・分割法人が、分割承継法人の株式等の全部を継続保有する見込みであること

分轄型・・・分割直前の分割法人の株主等で分割により交付を受ける分割法人の株式等の全部について継続保有を見込まれる者が有する株式等の数を合計した数が、分割法人の発行済み株式等の8割以上であること④分割資産の主要な資産・負債が分割承継法人に引き継がれていること⑤従業員のおおむな8割以上を引き継ぐこと⑥分割事業が分割承継法人に継続見込であること

税制非適格分割・・・分割法人は、移転した資産・負債を分割時の時価により分割承継法人に譲渡としたものとされる。分割型分割である場合、分割承継法人や新設分割設立法人の株式等の交付を受けた分割法人の株主には、みなし配当課税や譲渡所得課税が生じます。ただし、合併の場合と同じく譲渡損益調整資産の取扱は同じである。みなし配当課税も同じ。

3.株式移転による場合・・・1又は2以上の株式会社が、その発行済株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させること→株式移転により持株会社を後継者に事業承継させれます。

◇税制適格株式移転・・・以下の様に一定の要件を満たせば、税制適格となり課税が繰り延べられます。

①株式移転により交付される対価は、完全親法人の株式のみ交付されること

②次のいずれかの要件に該当する事

?100%支配(完全支配関係)の場合・・ア、株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人との間に同一者による完全支配関係がある場合で移転後も同一者による100%支配の継続が見込まれる

イ、一つの法人のみが株式移転完全子法人となる場合で、移転後も株式移転完全親法人と株式移転完全子法人との間に100%支配継続が見込まれること

?50%超え100%未満の支配関係の場合・・・ア又はイのいずれかの要件を満たし、ウとエの要件を満たすこと

ア、株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人との間にいずれか一方の法人に       支配関係がある場合で移転後も株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人との間に株式移転完全親法人による支配関係の継続が見込まれること

イ、同一者による支配関係がある場合で、移転後も株式移転完全親法人と株式移転完全子法人との間にその同一者による支配関係の継続が見込まれること

ウ、従業員のおおむな8割以上を引き継ぐことが見込まれること

エ、主要な事業が継続されることが見込まれること

?50%超えの支配関係がない場合(共同事業要件)

ア、移転前における株式移転完全子法人と株式移転完全子法人が営む主要な事業について相互関連性がある事

イ、事業規模が5倍を超えないこと又は株式移転完全子法人若しくは他の株式移転完全子法人の常務以上の役員あ(特定役員)のいずれかが、株式移転に伴い退任しないこと

ウ、従業員のおおむね8割以上を引き継ぐ事が見込まれること

エ、株式移転完全子法人の事業又は他の株式移転完全子法人の事業が、株式移転完全子法人の又は他の株式移転完全子法人で継続されることが見込まれること

オ、株式移転完全子法人の株主が50人未満でる場合

株式移転完全子法人又は他の株式移転完全子法人の株主で株式移転により交付される株式移転完全親法人の株式の全部を継続して保有することが見込まれる者が有する株式移転完全子法人又は他の株式移転完全子法人の発行済み株式数の8割以上であること

カ、株式移転後の株式移転完全子会社又は他の株式移転完全子法人との間に株式移転完全親法人による100%支配の継続が見込まれること

◆税制非適格株式移転・・・株式移転完全親法人が株式移転完全子法人の株式を時価により取得したものとされる、ただし株式移転完全子法人は固定資産等の一定の資産につて時価評価を行い評価益及び評価損を計上します。さらに、完全子法人の株主は、原則として完全子法人の株式を譲渡して完全親法人株式を取得するため、譲渡所得となりますが、移転の際に親法人株式のみ交付を受ける場合は、非適格株式移転でも譲渡損益は繰り延べられます。

〇組織再編による事業承継の場合の注意点

組織再編を認めた場合に法人税等の負担を不当に減少させる結果となると認められたら税務署長の認めるところにより法人税額を計算する。

〇組織再編前後において会社実体に変化があり財産基本通達により評価することが著しく不適当であれば、国税庁長官の指示により評価される可能性あり

 

Ⅱ.組織再編以外の事業承継対策の検討

事業承継の阻害要因

①民法の遺留分制度・・・中小企業の後継者が先代経営者から贈与・遺贈又は相続により自社株を取得した場合、他の相続人から遺留分減殺請求に基づいて、現物弁償又は価格弁償をすることがある。生前贈与された財産が遺留分計算上相続開始時に上昇する場合もあり、後継者以外の遺留分の増加もありうる。

②相続税・贈与税の負担

事業を承継した場合、自社株式を相続・贈与で取得する場合、評価額が多額となり、当該税金の負担が重くなるケースがある

③多額の資金の必要性

相続等により分散した株式等や事業用資産等の買い取りのため多額の資本が必要となる場合もある。

Ⅲ.事業承継対策の概略

①資産承継対策・株式の集中

?遺言書の作成・・・遺言によって、法定相続に優先して、株式の分散を防げて、内容の確認、変更のために、毎年一回作成し直すことが望ましい。

?種類株式の設定・・・普通株式と異なり、定款で定める目的を持った株式。議決権を現経営者又は後継者へ集中し、それ以外の株式は剰余金の配当を優先させるもの

?生前贈与

〇暦年課税制度・・・毎年贈与を受けた価格が110万円以下なら贈与税の申告不要

〇相続時精算課税制度・・・60歳以上の親又は祖父母から20歳以上の子又は孫へ、財産を200万円まで非課税で贈与できます。また、贈与時点での評価額が相続発生時点で相続税を算定します。評価が増加する見込みの財産を贈与することになり有利です。

?経営承継円滑化法の活用・・・遺留分に関する民法の特例・事業承継時の金融支援措置・事業承継税制(非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予制度)

?自社株式の買い取り(金庫株)・・・非後継者に散らばった株式を自社で買い取る事、議決権の集中させる

?生命保険の活用・納税資金対策・・・死亡保険金は受取人の固有の財産となる・円滑化法利用で金融支援・非上場株式も物納可能

仮想通貨について


1.仮想通貨とは

インターネットを通じて不特定多数の人と物品やサービスの対価に使える法定外通貨です。従って、混同されがちな電子マネーは、仮想通貨と違い法定通貨を支払の利便性から形態を変えただけのものです。

2.特徴

①円やドルと同じく価値の変動する通貨の一種である。

②根幹はブロックチェーン技術によって担われている。

③ブロックチェーン技術は高いセクリティーを実現している。

3.ブロックチェーン技術

 ブロックチェーンは、「ブロック」と呼ばれるデータの単位を一定時間ごとに生成し、鎖(チェーン)のように連結していくことによりデータを保管するデータベースである。つまり、ここでいうブロックはノードである。主鎖(黒)の同一性は、起源ブロック(緑色)がもつハッシュ値を究極的な拠り所とする。主鎖は、起源ブロックから現在のブロックまでの最長の一連のブロックで構成されている。孤児ブロック(紫色)は、主鎖の外側に存在する。あるブロックチェーンに参加する者のうち、プルーフ・オブ・ワークPoW)と呼ばれる、計算に時間のかかる値を最初に計算した者が、次のブロックを生成することができる(Proof-of-stakePoS) など別の手法もある)。あるブロックの内容は直前のブロックのハッシュ値に依存するため、いったんチェーンに追加されたブロックを改竄することは(それ以降のブロックを全て破棄しない限り)できないとされている。要約値とも呼ばれるハッシュ値は、データの同一性・関連性を認める際に目安となるが、その信頼性は衝突の頻度による。ブロックチェーンに応用した場合は、改竄でないデータを改竄として検出しないかどうか、応用自体の正否に立ち入った検証を必要とする。ブロックチェーンは孤児ブロックを検出すると、ハッシュ値に基づく「多数決」によって正統な主鎖を決定し、ブロック間の同期を確保する。

 ハッシュとは、あるデータを変換して得られる固定長のデータのことです。またハッシュを得るための関数をハッシュ関数といいます。ハッシュ関数は数値やドキュメントのような文字列など、どんな値でも指定の長さの数値に変換できます。暗号関数はデータを暗号化したり復号できるのに対し、ハッシュ関数はあるデータを一方向にしか変換できないのが特徴で、ハッシュ化されたデータを元のデータに戻すことは基本的に不可能です。また、元のデータを一文字でも変更すると、ハッシュ化された結果は全く違うものとなり、ハッシュ化された結果から元データを推測することも不可能にしています。よくハッシュが使われる場所として、ウェブサイトなどのパスワードの保存があげられます。ウェブサービスではパスワードをハッシュ化してデータベースに保存することがよくあります。フォームから入力されたパスワードのハッシュ値を取ったものと、データベースに保存されていたパスワードのハッシュ値を比較し、これらが一致するかを見てパスワードの確認しています。よって、ハッシュ化されたパスワードしかデータベースに保存されていないため、データベースに保存されている数値からパスワードは復元できず、いざデータベースの内容が漏洩したとしても一定の安全性が保たれます。「P2Pネットワーク」にすべての取引履歴データを分散保存する。ビットコインのブロックチェーンは、一言でいうと「過去からのすべての取引履歴(トランザクションデータ)を一定容量(ブロック)で時間順序に合わせて区切った上で、それぞれのブロックを特殊チェーンによってつなげた一連の取引データの集合体(データベース)」といえる。この「過去からのすべての取引履歴を記憶したデータベース」であるブロックチェーンと同一のチェーンを保存した不特定多数のノード(ネットワークに能動的に接続されている電子デバイス、パソコンなど)によって構成されるネットワークが、ビットコイン取引のプラットフォームである。
 このネットワークの特徴は、特定の管理主体が存在するクライアント/サーバ型ではなく、各ノード(コンピュータなど)が対等に直接通信し、ネットワークを形成している点であり、このような中央管理者不在の分散ネットワークを「P2Ppeerpeer・対等)ネットワーク」と呼ぶ。

4.仮想通貨の税法上の取扱(税務通信)

①仮想通貨は経済的利益

 税務上、日本法人が、従業員等に対し労働の対価として仮想通貨を支給した場合、経済的利益の供与に当たり「現物給与」として給与所得の収入金額とされる。また、原稿料や講演料、士業のと徴収義務が課される。

②収入すべき金額

 仮想通貨は24時間乱高下する値動きがあるが、基本的には、給与や報酬額の「確定日」における市場の取引価格などから合理的な方法で算出した額となろう。一般的に給与や報酬を仮想通貨で払う場合、まず日本円による支払額を確定させ、その確定額に相当する仮想通貨を支給する場合が多いそうである。この場合、日本円と仮想通貨を色分けすることなく、その合計額(確定額)をもとに源泉徴収することになる(10,21%)。なを、給与又は報酬として支払いを受けた仮想する通貨を売却して日本円に換金した場合、取得価格と売却価格との差額が「雑所得」となる。

5.仮想通貨に関する所得の計算方法について(国税庁FAQ

1.仮想通貨の売却

保有する仮想通貨を売却(日本円に換金)した場合、その売却価格と仮想通貨の取得価格との差額が所得となる。

2.仮想通貨での商品の購入

保有する仮想通貨を商品購入の際の決済に使用した場合、その使用時点での商品価格と仮想通貨の取得価格との差額が所得金額となる。

3.仮想通貨と仮想通貨の交換

保有する仮想通貨を他の仮想通貨を購入する際の決済に使用した場合、その使用時点での他の仮想通貨の時価(購入価格)と保有する仮想通貨の取得価格との差額が、取得金額となります。

4.仮想通貨の取得価格

同一の仮想通貨を2回以上にわたって取得した場合の当該仮想通貨の取得価格の算定方法としては、移動平均法を用いるのが相当である(ただし、継続して適用することを要件に総平均法を用いても差し支えありません。)。

5.仮想通貨の分裂(分岐)・・・新たに誕生した仮想通貨を取得した場合

分裂(分岐)時点において取引相場が存しておらず、同時点においては価値を有していなかったから、その取得時点では所得が生ぜず、その新たな仮想通貨を売却又は使用した時点において所得が生じることになる。

6.仮想通貨に関する所得の所得区分

BTC(ビットコイン)をはじめとする仮想通貨を使用することによる損益は、事業所得等の各種所得の起因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されることとしています。

7.雑損失の取扱い

仮想通貨の取引による雑所得の損失は、雑所得以外の他の所得と通算することはできません。

8.仮想通貨の証拠金取引・・・外国為替証拠金取引(FX)と同様申告分離できるか

租税特別措置法上、先物取引にかかわる雑所得等の課税の特例(申告分離課税)の対象は、金融商品取引法等に基づき行われる①商品先物取引等、②金融商品先物取引等。③カバードワラントの取得とされており、仮想通貨の証拠金取引は、これらのいずれの取引にも該当しませんので、申告分離の適用はなく、その取引により得た所得については、総合課税による申告になる。

9.仮想通貨のマイニング(採掘)等

マイニングなどにより仮想通貨を取得した場合、その所得は、事業所得又は雑所得の対象となる。

この場合の所得は、収入金額(マイニング等により取得した仮想通貨の取得時点の時価)から、必要経費(マイニング等に要した費用)を差し引いて計算する。なを、マイニング等により取得した仮想通貨を売却又は使用した場合の所得計算における取得価格は、仮想通貨をマイニング等により取得した時点での時価となる。

<医療費控除について>


控除額 =(支払った医療費の額-保険金等で補填される金額)

10万円(限度額200万円)

※もしくは総所得金額等の合計額×5

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)を選択することにより、次の計算式で控

除額を計算することもできます。

控除額 =(支払った特定一般用医薬品等購入費の額

-保険金等で補填される金額)-1 万2 千円

(限度額8 万8 千円)

※医療費控除と医療費控除の特例とは選択適用。

※申告書には、医療費等明細書又は医療保険者等の医療費通知書を添付(医療費等明細書を

添付する場合は、領収書を5 年間保存)。

※特例を選択した場合は、特例の一定の取組を行ったことを明らかにする書類も併せて申

告書に添付又は提示。

※平成29 年分~平成31 年分については、経過措置として従前通りの領収書の添付又は提

示でも可。

※期間は前年の1 月1 日~12 月31 日までで、その期間に支払った医療費だけでなく通院

にかかった交通費、薬局で買った市販薬代なども対象。

〇医療費控除を行うための必要書類等・・・

・確定申告書申請用紙

・医療費に関わる領収書やレシート

・交通費の領収書や詳細な記録

・源泉徴収票(給与所得がある場合)

・還付金を振り込んでもらう銀行口座の通帳もしくは口座番号入力してください

【第2回】マイナンバー制度について



 第1回 マイナンバー制度 では、マイナンバー制度の社会的背景、番号法の立法趣旨や利用範囲の限定にふれ、制度の概要にも若干の言及を試みました。

 その中で、番号法によれば、「事業者は特定個人情報等の適正な取扱いのため、安全管理措置を講じなければならない」と規定してありました。ただ、中小規模事業者に関しては特例措置があり、中小規模事業者以外の一般事業者における原則的方法に比較して若干の緩和措置がとられています。

 しかし、特定個人情報を扱う限り、適切な安全管理措置をとらなければならないことにかわりはありません。

今回は、事業者の視点から、中小規模事業者特例措置を中心に概要についてふれてみたいと思います。なるべく平易になるよう要点のみご説明いたします。


1.番号制度の概要の把握と従業員等への周知

 事業者は、従業員等の源泉徴収事務や社会保険事務、労働保険事務のために、従業員本人から個人番号の提供を受けなければならない。

その際、従業員から個人番号の提供を受ける場合には本人確認が必要であり、事業者は従業員等に対して通知カード等を紛失しないように管理しておくことを伝えることが重要。

併せて、控除対象配偶者や控除対象扶養親族がいる場合には、それらの個人番号も事業者に伝える必要があるので扶養親族等への周知連絡等も重要である。

従業員等が住民票所在地に居住していないケースの場合、住民票所在地に通知カードは送付されるので注意が必要。


2.安全管理措置の中小規模事業者に対する特例

→ 安全管理措置は特定個人情報を取り扱うすべての事業者に課される義務である。なお、中小規模事業者については安全管理措置の特例がある。

 ? 中小規模事業者とは
  … 事業者のうち従業員の数が100人以下の事業者で、次に掲げる事業者を除く。
  ・個人番号利用事務実施者(行政機関)
  ・委託に基づき、個人番号関係事務または個人番号利用事務を業務として行う事業者
   (exe,税理士、司法書士、社労士他)
  ・金融分野の事業者(exe.銀行等の金融機関)
  ・個人情報取扱事業者

?安全管理措置の中小規模事業者に対する特例
  … 事業者は特定個人情報等の適正な取扱いのため、以下の安全管理措置を講じなければならない
  ①組織的安全管理措置(→事務作業の見直し)
  (ア)事務取扱担当者が複数いる場合
    …責任者と事務取扱担当者の区別が望ましい(けん制効果が期待できる方法)
  (イ)取扱規定等に基づく運用状況の記録・確認
    …特定個人情報等の取扱状況がわかる記録の保存(exe.業務日誌等への記録等)
  (ウ)情報漏えい等事案に対応する体制の整備
    …情報漏えい事案の発生に備え従業者から責任者への連絡体制等をあらかじめ確認しておく
  (エ)取扱状況の把握および安全管理措置の見直し
    …責任者が特定個人情報等の取扱状況(管理簿や執務記録)について定期的に点検を行う
  (オ)特定個人情報等を取り扱う区域の管理
    …特定個人情報の漏えいを防ぐため、特定個人情報ファイルを取扱う管理区域及び特定個人情報等を取り扱う事務を実施する「取扱区域」を明確に区別する。

  ②物理的安全管理措置(→事務所レイアウトの見直し)
  (ア)特定個人情報等を取り扱う区域の管理…特定個人情報の漏えいを防ぐため、特定個人情報ファイルを取扱う管理区域及び特定個人情報等を取り扱う事務を実施する「取扱区域」を明確に区別する。
  (イ)機器及び電子媒体等の盗難等の防止…管理区域及び取扱区域における特定個人情報等を扱う機器、電子媒体および書類の盗難・紛失を防止するための物理的な安全措置を講ずる。
  (ウ)電子媒体を持ち出す場合の漏えい等の防止…特定個人情報等が記録された電子媒体、書類等を持ち出す場合、パスワード設定等の安全措置を講ずる。
   (エ)個人番号の削除、機器及び電子媒体等の廃棄…保存期間が過ぎた特定個人情報等は適切に廃棄しなければならない。削除・廃棄したことを責任者が確認する。

  ③技術的安全管理措置(→情報システムの管理方法の検討)
  (ア)アクセス制御およびアクセス者の識別と認証…特定個人情報等を取り扱う機器を特定し、その機械を取り扱う事務取扱担当者を限定することが望ましい。(ユーザーアカウント制御機能を使用が望ましい)
  (イ)外部からの不正アクセス等の防止…情報システムを不正アクセス等から保護する仕組みを導入、適切に運用する。
  (ウ)情報漏えい等の防止…特定個人情報等をインターネット等で外部に送信する場合、通信経路における情報漏えい等を防ぐための措置を講ずる。

  ④人的安全管理措置(→事務担当者の教育・監督)
  事務処理担当者の監督・教育…特定個人情報等が取扱規定に基づき適正に取り扱われるよう、事務処理担当者に対して必要かつ適切な監督および教育を行う。

?特定個人情報の適正な取扱い(中小規模事業者向け)

  個人番号の取得
  事業者は、社会保障および税に関する手続書類(以下「手続書類」という)の作成事務を処理するために必要がある場合に限って、従業員等に個人番号の提供を求めることができる。
  個人番号を取得する際には、本人確認が義務付けられている。
  本人確認の方法は、個人カードもしくは通知カードおよび身分証明証(運転免許証等)の提示等の方法がある。
  従業員等に扶養親族等がいる場合にかかる本人確認は従業員等本人が行う。
  従業員等へ個人番号の提供を求める時期は、社会保障および税に関する手続き書類の作成事務が発生した時点が原則。ただし、従業員等との雇用契約が生じた時点でその事務の発生が予想できる場合は、その時点でも可能。

  ②個人番号の利用・提供
  事業者は、社会保障および税に関する手続書類(法令に基づき行う源泉徴収票作成事務、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届作成事務等に限定した手続書類)に個人番号を記載して、行政機関等および健康保険組合等に提出する(個人番号関係事務)。

  事業者は、個人番号関係事務を処理するために必要な範囲に限って、特定個人情報ファイルを作成できる。

  番号法で限定的に定められている事務の範囲(社会保障・税)以外の場合は、本人の同意があったとしても本来の利用目的を超えて個人番号・特定個人情報を利用・提供することはできない点に注意が必要。

 ③個人番号の保管
  事業者は、従業員等の特定個人情報を利用する事務を行う必要がある場合に限り、それらの特定個人情報を保管し続けることができる。

  特定個人情報等を取り扱う機器、電子媒体または書類等は適正に管理・保管する必要がある。

  事務所内の施錠できるキャビネット、機器のセキュリティワイヤーによる固定等、電子媒体を持ち出す場合の機器のパスワード設定や置き忘れや盗難防止、USB等の管理などが考えられる。

  ④個人番号の廃棄
   事業者は、特定個人情報を利用する事務を行う必要がなくなった場合で法令で定められている保存機関を経過した場合には、個人番号を速やかに廃棄または削除する必要がある。
  削除または廃棄を委託する場合には、委託先が確実に削除または廃棄したことについて、証明書等により確認する必要がある。

?委託の留意点
  →「必要かつ適切な監督」…委託者(事業者)は、委託先において、番号法に基づき委託者自らが果たすべき安全管理措置と同様の措置が講じられるよう、「必要かつ適切な監督(※)」を行わなければならない。

  委託先が再委託する場合は、最初の委託者の許諾を受けた場合に限り、再委託することが認められている。

  ※「必要かつ適切な監督」とは以下の内容。

  ①委託先の適切な選定
  ②委託先に安全管理措置を尊守させるための必要な契約の締結
  ③委託先における特定個人情報の取扱状況の把握

  事業者は、委託先の設備、技術水準、従業者に対する監督・教育の状況、その他委託先の経営環境等をあらかじめ確認しなければならない。

  委託先との契約に秘密保持義務、情報の取扱に関する禁止事項、情報漏えいの防止対策や漏えいした際の委託先の責任、委託終了後の個人情報の返却または廃棄、従業員の監督・教育、契約内容の尊守状況に関して報告を求める規定等を盛り込む必要がある。

  また、個人情報を取り扱う担当者の明確化や委託者が委託先に対する実地調査ができる規定等を盛り込むことが望ましいと考えられる。すでに、委託契約を締結済みの場合は、契約内容の見直し、または覚書等を締結することが望ましい。

以上

【第1回】 マイナンバー制度について



 今、巷でうわさのマイナンバー制度。今年の10月から皆さんのところにマイナンバーが送付され、平成28年1月からマイナンバー制度の運用が本格的に開始されるとのこと。あと半年しかありません。しかし、いまだ未確定要素が多く、現段階ではなんとも把握しづらい制度です。未確定要素が多いこの制度ですが、公表されている部分について内容を要約して説明することとします。


1.マイナンバー制度の社会的背景

 民主党の時代に問題が表面化した「消えた年金問題」、「生活保護不正受給問題」、「住基ネットに関する議論」により国民の関心に変化が生じている。
 ここに、住基ネットに関する議論とは、

① 住基ネットの情報について、情報漏洩等の安全性は確保されているか
② 住基ネットは、憲法で保障されている個人のプライバシー情報を侵害していないか
③ 自己のプライバシー情報の取扱い方を自己決定する利益(自己情報コントロール権)は確保されているか

 これらの議論に対する裁判の判決によれば、
上記①については、行政による住基ネットのデータが集積される中央サーバーへの侵入実験を幾度か試みたが失敗、その結果からは外部からのアクセスできる危険性はないこと、不当アクセス等の情報漏洩等は懲戒処分や刑罰をもって禁止されていること等からは不当に第三者に開示される危険性は生じるということもできない。
 ②③の権利が確保されているかは、住基ネットの本人確認情報は氏名・生年月日・性別・住所に住民票コード等を加えたもの。このうち4情報は人が社会生活を営む上で当然開示が予定される個人識別情報であり秘匿性の高い情報とは言えないので権利を侵害するものではない。(平成20年3月6日、いわゆる住基ネット訴訟の判決)


2.番号法(マイナンバー法)とは

 行政機関等が情報を照合して効率的な情報の管理および利用における迅速な情報の授受を行うことができるようにするとともに行政運営の効率化および行政分野における公正な給付と負担の確保を図る(行政の利便性)。それにより、国民が手続の簡素化等の利便性向上を得られるようにするための必要な事項を定めるように、①行政機関が保有する個人情報保護に関する法律、②独立行政法人等の保有する個人情報保護に関する法律、③個人情報の保護に関する法律の特例、を定めることを目的とする(個人の利便性)。


3.番号法の利用範囲 … 社会保障分野、税分野、災害対策分野の3分野に限定。


4.マイナンバー制度

A)付番 … 住民票全員に唯一無二の番号を付番し、最新の基本4情報(氏名、性別、住所、生年月日)と関連付ける。

  • 個人 …
     27年10月以降、個人に通知カードが送付される。有効期間は10年間(20歳未満は5年)。電子証明書も付与。
     個人番号の所管が総務省。

  • 法人 … 
     唯一無二の法人番号を付与。本店のみで支店等には付与されない。法人番号の所管が国税庁。

B)情報連携 … 複数の各機関で同一情報の紐付け、相互に活用する仕組み。

C)本人確認 … 
 ①個人が自分が自分であることを証明する仕組み(身元確認)、
 ②個人が自分の番号の真正性を証明する仕組み(番号確認)

  • 番号法の利用範囲である3分野で利用するときは上記①②を確認するためには、個人番号カードの確認で事足りる。
  • 個人番号カードが確認できなければ、代替として以下の(ア)、(イ)
    (ア)「通知カード+身元確認書類」…通知カードは個人カードおよび基本4情報が記載されているが顔写真がない。そのため身元を確認できるなんらかの書類(運転免許証等)を提示してもらう必要がある。
    (イ)上記(ア)がない場合は、「番号確認書類+身元確認書類」… 「番号確認書類」とは、個人番号が記載された住民票の写し等をいう。
  • 本人の代理人から個人番号の提供を受ける場合、「代理権確認書類+代理人身元確認書類+本人番号確認書類」
  • 申告書、法定調書等の税務書類への個人番号・法人番号記載
    正式には決まってないが予定だと次のものから記載が必要となる。
    ①所得税・贈与税 … 平成28年の申告書(準確定は28年に提出するもの)
    ②法人税 … 平成28年1月1日以降に開始する事業年度にかかる申告書
    ③消費税 … 平成28年1月1日以降に開始する課税期間にかかる申告書
    ④相続税 … 平成28年1月1日以降の相続または遺贈にかかる申告書
    ⑤酒税・間接諸税 … 平成28年1月分の申告書
    ⑥法定調書 … 平成28年1月以降の金銭等の支払等に係るもの
    ⑦申請・届出書等 … 平成28年1月以降に提出するもの

以上

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